
書体を構成する要素とは
フォントのエレメント(要素)とは、フォントを構成するデザインのパーツや特徴のことです。文字の形や印象を決定する重要な要素となります。今回はフォントのエレメントについて解説させていただきます。
1:アーク(arc)
文字の一部に見られる曲線状のストローク(筆の動き)を指します。これは特に部分的なカーブで、閉じていない曲線を指します。

2:アーム(arm)
一端が文字と接し、もう一端が空中に伸びる水平線や斜め線の箇所です。

3:アペクス(apex)
文字の上方向に向かって収束するストロークの交点のことです。大文字の「A」などで見られます。

4:イアー(ear)
小文字の「g」に見られる、上部のカウンター(輪)の右側から斜め上や横に伸びる小さな突起部分です。

5:カウンター(counter)
文字の中にできる閉じた、または半分開いた空間のことです。文字の線(ストローク)によって囲まれた部分がこれにあたります。

6:ショルダー(shoulder)
文字の中で見られる曲線的に下がっていくストロークのことです。なだらかに弧を描いて下降する線の部分を指し、「肩」のような形状からこの名前が付いています。

7:スワッシュ(swash)
文字に付け加えられた華やかで装飾的なストローク(線)のことです。通常の筆記体やセリフ体などに見られる、大きなカーブやひねりを持つ部分です。

8:ステム(stem)
文字の垂直または水平にまっすぐ伸びる主軸のストロークのことです。文字の骨組みとして最も重要なパーツで、書体の太さ・リズム・安定感に大きな影響を与えます。

10:スパイン(spine)
「S」などの文字で見られる、曲線的にくねる中心軸の線のことです。文字の形状の特徴を決定づける重要な要素の一つです。

11:スパー(spur)
G や a に見られる、小さく突き出た短いストロークや角のような突起部分です。文字の主線からわずかに伸びているのが特徴です。

12:セリフ(serif)
文字のストローク(線)の端に付け加えられた「小さな突起」のことです。文字にアクセントを加えたり、視認性・可読性を高めたりするために使用されます。セリフ体とサンセリフ体の違いにもなる要素です。

13:テール(tail)
下方向に伸びている細長い部分や“しっぽ”のような形状を指します。書体のスタイルによって、直線的・曲線的・装飾的などさまざまなバリエーションがあります。

14:ドット(dot)
主に 「i」や「j」 の上にある、小さな丸や点状のマークです。書体によって形状や位置、大きさに違いがあり、デザイン性を持たせたバリエーションも存在します。

15:バー(bar)
文字の中にある横方向の線で、“クロスバー(crossbar)”とも呼ばれることもあります。文字の左右または内側をつなぐ構造要素となっていて、多くのアルファベット文字に見られます。

16:ビーク(beak)
文字の端にあるくちばしのような小さな突起のことを指します。特にセリフ(Serif)書体に見られる装飾的な要素で、視覚的なアクセントやリズム感を与えるために用いられます。

17:バーブ(barb)
文字のストロークの端にある鋭く突き出た装飾的な突起のことを指します。形状としては「とげ」や「かぎ状の突き出し」に似ており、主にセリフ体に見られるディテールです。

18:フット(foot)
文字の下部にあるストロークの終端部分を指します。セリフ体において、縦線の下端に付く飾りや基底線との接点部分のことを意味します。

19:ブラケット(bracket)
セリフ(serif)と主線をつなぐカーブ状の接合部分のことです。特にセリフ体の文字デザインにおいて、構造的にも装飾的にも重要な要素となっています。

20:ヘアライン(hairline)
文字を構成するストロークの中で最も細い線のことを指します。名前の通り「髪の毛のように細い線」であり、セリフ体でよく見られる特徴です。

21:ベースラインセリフ(baseline serif)
文字のベースライン(基線)に接するセリフのことを指します。特に縦画の下端部分に付けられる水平または曲線的な装飾で、文字を視覚的に安定させ、クラシックで整然とした印象を与える役割があります。

22:ボウル(bowl)
文字の中で閉じた(または半分閉じた)曲線部分を指します。

23:リンク(link)
小文字の「g」 に見られる構造で、上部(ループ)と下部(ボウル)をつなぐ細いストローク部分を指します。

24:ループ(loop)
小文字の「g」 に見られる構造で、ベースラインの下にある、囲まれた部分を指します。

まとめ
フォントを形作る重要なエレメント(要素)について紹介させていただきました。細かなパーツのひとつひとつにも名前がついていて、非常に多くの種類が存在します。フォントのデザインをするには多くの箇所に配慮し、オリジナルの要素を加えつつも破綻しないようにと、考えることが多くフォントを作るのがどれだけ大変な作業なのかを改めて感じさせられました。